| 美しい国へ |
 | 著者名:安倍晋三(著) 出版社:文藝春秋 出版年:2006.07 ISBN :4166605240 |
基本的に話題書は読まないように(あまのじゃくのためか・・・)している。けれども、ある人に勧められて、この本を購入。
全体的に、タカ派的な臭い漂う書物。そして、本当に著者自身が書いたのかなぁ?と思わせる内容。読み物としての評価がA-というのではなく、著者の思想を知る上での評価がA-。本の内容としては、「C」ぐらいか。
以下に気になったことを記してみる。
25頁「たしかに、軍部の独裁は事実であり、・・・マスコミを含め民意の多くは軍部を支持していたのではないか。」
戦争責任についての記述だが、著者は「当時の状況」を知っているのだろうか?特にも、戦争反対を訴えることが困難な状況の中にあって、正確な情報をマスコミが伝えることは出来なかった。確かに当時の新聞等を見てみると、戦争支持となっているが、それは、戦争を支持せざるを得ない状況下の中での軍部支持に過ぎないはず。特高警察などの思想的な統制もあったなかで、軍部不支持の報道が出来たはずない。
40頁「わたしが政治家を志したのは、ほかでもない、わたしがこうありたいと願う国をつくるためにこの道を選んだ。」
国民主権の日本において、独裁者のような言葉。政治家を選ぶのは国民である。国民がこうありたいと願う国をつくるのが、代議士たる政治家の使命ではないだろうか。「わたしがこうありたい」という言葉に危うさを感じる。
108頁「たしかに自分の命は大切なものである。しかし、時にはそれをなげうっても守るべき価値が存在するのだ、ということを考えたことがあるだろうか」
戦争で命を失ったもの(特に特攻部隊の隊員のこと)について記されているあとの言葉。自らの命をかけて守らなければならないという教育をしていったのはだれか。。戦争をせざるを得ない状況を作ったのは誰か。特攻という手段でしか戦争できなかったのはどうしてか。著者の歴史観に疑問を感じる。
128頁「日本では安全保障について考えることは、すなわち軍国主義であり、国家はいかにあるべきかを考えることは、国家主義だと否定的にとらえたのである。」
日本が軍隊を持つことに言及している箇所。西ドイツを例に挙げて、軍隊を持つことについて述べている。日本では、戦争責任の問題について、まだまだ明瞭でない状況にある。また、第二次大戦についても、侵略戦争だったというコンセンサスも得られていない。それに対して、ドイツは、いまもなお、自分たちの行った大量虐殺についての反省を行っている。自らの戦争を見つめ直していない中で、日本が軍隊をもつということは、近隣諸国から見れば、「軍国主義」と見られても仕方のないこと。ドイツと比べるのは疑問である。
135頁全般。イラクに自衛隊を派遣したことについて述べられている。アメリカにおいてもイラク戦争はでっち上げだったという理解をしている。日本もイラク派遣を行ったとき、大量破壊兵器の問題等も出ていたが、それについては記載なし。不十分な記述である。
138頁「自衛隊が独自に戦線を拡大していくようなことがあっただろうか」
PKO法のことについて。憲法九条がある日本にあって、戦線を拡大しないのは当たり前のこと。
自信と誇りのもてる日本へ。???著者はいまの日本では自信と誇りをもてていないのだろうか。
まだまだ気になるところはたくさんある。ぜひ、批判的な目でこの本を読んでもらいたい。そうすると、行間にあるたくさんの「危うさ」に気づくことができる。
美しい国。日本。いままのままでも十分美しい。この美しい国をこれ以上破壊しないで欲しいと切に祈りたい。
posted by book-love at 23:13|
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